約 301,145 件
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3486.html
第三話「A new life」 JS事件から2ヵ月後。被害状況も調査終了し、復興活動をしている。機動六課も順調に任務をこなしている毎日。 平和とはいえないが、しばらくは普遍の毎日。その普遍の毎日を変えたのは、一人の次元漂流者、 スコール・レオンハート。 第三話「A new life」 「と、いうわけでここに配属されることになったスコール・レオンハートさんです。よろしく。」 高町なのはがティアナらに説明する。 こちらもなのはの事や、スバルたちのことはフェイトからすでに聞いている。 管理局のエース・オブ・エース、高町なのは。デバイスはレイジングハート。 「スコール・レオンハートだ。スコールでいい。」 あくまで簡潔に説明する。 「じゃあ、こっちからも自己紹介ね。それじゃ、スバルから!」 みんなテンションが高い…とスコールは思う。 そんなクールな思考とは裏腹に、スバルが元気よく自己紹介をする。 「はい!私はスバル・ナカジマっていいます!えっと、スバルって呼んでください!!」 「私は、ティアナ・ランスターです。私のデバイスはクロスミラージュって言います。」 「エリオ・モンディアルです。スピードには自信があります!」 「キャロル・ル・ルシエです。えっと…こっちは、私のパートナーの、フリードです。」 なんだか、転校生の紹介みたいである。 まあ、それはさておくことにしよう。 「じゃ、今日も練習始めるよー。」 「「「「よろしくお願いします!!」」」」 気合のこもった挨拶が「ロングアーチ」に響く。 「今日は、スコールも一緒にやってくれるから、スバル、ティアナはスコールと模擬戦。キャロとエリオはフェイト教官についていって。」 「「「「ハイ!!!!」」」」 「それじゃあ、三人ともこっちについてきて。」 スコールはそのまま、なのはについていった。 「模擬戦、といっても何をすればいいのか俺はよくわからないんだが。」 今まで黙っていたスコールがたずねる。 「簡単だよ。今からこの二人を相手に戦ってもらうの。死なない程度にね。勝負がついたと判断した時点で終了。いい?」 なのはが簡潔に説明する。 死なない程度に、という言いかたが少し引っかかったが… 「今日は、スコール対ティアナとスバル!レディ……スタート!!」 始まった瞬間、スバルが殴りかかってくる。 それを紙一重で交わした瞬間、10mほど離れたところからのティアナの援護射撃がきた。 (なるほど。チームワークがいい。…が) 魔力で出来た弾が当たる瞬間、スコールはスバルの体を引っ張り、ティアナの援護射撃に当てた。 「ぐあっ!!」 弾は命中。ギリギリを狙ったのが仇になったようだ。 「スバルごめん!一旦、距離をとって!」 すぐにスバルがティアナの元へ飛んでいく。 そして、身を隠したようだ。この一連の動きになのはは感嘆する。 (やるね。ちゃんと頭を使った戦い方をしてる。その上、実力も相当なものだから、はやてちゃんが気に入るわけだ…) 心の中でそう呟く。はやてが気に入ってるのは事実だが、そういう理由ではないとは思う。 そのころ、スバルとティアナはプランを練っていた。 「スバル、あの人はおそらく、接近戦のスペシャリストよ。なるべく、遠距離で相手を狙うようにして!」 「OK!あと、ティアはクロスファイアーシュートを使って、敵をスコールさんに確実に当てて!!」 「よし!いくわよ!」 一分ほど経っただろうか、背後からスバルが奇襲を仕掛けてきた。 「リボルバーシューーーート!!!!」 スバルの右腕から高密度の魔力が放出される。 だが、スコールはそれを軽くかわす。 その瞬間、後ろから弾が飛んできた。ティアナのクロスファイアーシュートである。 つまり、スバルは全面的におとりだったのだ。 仕留めた!と確信する二人だったが、次の瞬間、スコールはガンブレードを突き出して一回転した。 ガンブレードから赤い泡のようなものがでてきて、スコールを囲む。 そして、スコールはガンブレードのトリガーを引きながら、叫んだ。 「フェイテッドサークル!!」 トリガーを引いた瞬間、泡が爆発しリボルバーシュートとクロスファイアーシュートを打ち消した。 これには、なのはもスバルとティアナも驚いた。次の瞬間、青いオーラをまとってスコールが突っ込んできた。 ラフディバイドを使ってスバルとに距離を一気につめる。スバルは防御をしようとしたが、スコールが早すぎる。 「ぐああっっ!!」 結果、スバルはラフディバイドに直撃、壁に全身を打ちつけ戦闘不能。 そして、スコールはクロスファイアーシュートの来た方向を元に魔法を放つ。 「ファイガ!」 そう言った瞬間、ティアナのいるところが爆発する。 「くっ!!」 とっさにローリングするが、そこにはガンブレードを構えたスコールがいた。そして、ティアナに峰打ちを叩き込んだ。 「ぐはっっ!」 ティアナも、戦闘不能。結果、スコールの圧勝である。 「そこまで!」 なのはが模擬戦終了を告げる。そして、スバルの回収に向かう。その間、スコールはティアナの元へ向かった。 「大丈夫か?」 とりあえずたずねる。外傷も特に目立ったものはない。いたって無事だ。 「はい、ありがとうございます。」 峰打ちとはいえ、大ダメージに変わりはない。とりあえず、スコールはティアナにケアルラをかけた。 「あれ?痛みが引いて…それに傷も…」 驚いてるようだ。そのまま手をつかんで立つ手助けをする。 「クロスファイアーシュートとかいったか?あれは直線的過ぎる。もう少し機動を変則的な物にしてから撃ったほうがいい。 それに、撃ち終わった後もボーっとしていないで、他の遮蔽物に身を隠せ。」 スコールは的確な指示と改善する方法を提示する。ここまで見抜いていたとは、と驚くティアナ。それから、いつものティアナに戻って、 「はい!ありがとうございました!!」 と、礼を述べる。こういうところは、彼女は律儀なのだ。 「じゃあ、スバルのところに行こう。なのはが行ったから大丈夫だとは思うが。」 こうして、彼にとっての最初の模擬戦は彼の圧勝で幕を閉じた。 「それにしても、驚いたなー。スコールの技。だってギリギリまで使わないんだもん。」 練習が終了して、なのはとフェイトは並んで廊下を歩いていた。 「私も見たかったな、スコールの戦いぶり。」 ちょっと残念そうにフェイトが呟く。 「じゃあ、見せてあげよっか?録画しといたから。」 ……いつどこで録っていたのだろうか。 「じゃあ、また今度見せてね。」 興味がありそうな目でフェイトが言ってきた。 「へ~。そんなにスコールのことが好きなの?」 そうからかうなのはにフェイトは、 「そっ…そうじゃなくって!!」 思いっきり赤面して否定する。それが思いっきり肯定を示していると知らずに。 「アハハハハッ。ジョークだよ。」 …………こうして新たな日常のハードな朝は過ぎていった。 第二話「move」 第四話「The rest time」
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/217.html
49 :闇母 [sage] :2008/01/12(土) 19 47 20 ID f5RU4BjJ 〈茉奈Side〉 スカッとするくらい気持ちいい音がリビングに響いた。ついに、お父さんが、荒だった。お母さん、いや、あの年増、ほんと無様。 泣いたところで無駄無駄。“今のお父さん”にはね。 私はいつからなんて分からないけれど、ずっとずっとずーーっとお父さんといたいって思ってた。お父さんの笑顔に、仕草に、言葉に、私のこの小さな胸はドキドキしてしまう。お父さんの全てが欲しい。ただそれだけ。 けれど、人の恋路を邪魔するヤツがいる。お父さんの幼馴染み?知らないよ、そんなこと。 不思議なのは、私はあの年増をなんとかしなくちゃいけないって分かること。何をすればいいのかも、身体が分かるの。 『嘘も方便』。過程なんて、関係ない。私が欲しいのは、結果だけ。悪いね、お母さん。いや、年増。 私、私のために最善を尽くすから。 50 :闇母 [sage] :2008/01/12(土) 19 48 03 ID f5RU4BjJ もう私なんて眼中にない。半分嬉しくて、半分悲しい。私だけみていて欲しいんだもの。でもいいの。ホントいい気味だから。 お父さんはあの後も何十回も年増を殴り、蹴った。年増はただただうずくまって、必死に耐えるだけ。弁解の言葉は聡史さんには届かない。だって人間が『猫』の言ってること分かるわけないじゃん。 「お父さん…もう許してあげようよ」 お父さんが鬼の形相で振り返る。 「茉奈、まさかお前まで」目が血走ってる。吸いすぎたかな。 「ちがうよ。私はお父さん愛してるから…絶対裏切ったりなんかしないよ」 私はスカートをめくってパンツを晒す。かなり恥ずい。私の顔きっと真っ赤になってる。 「お父さんの、好きにして」 目がパンツに釘づけになってるよ、お父さん。 あの年増は気絶してる。血だらけの顔と床。掃除しとけよ、負け猫。けれどね、まだまだ足りないの。あんたからは全部奪うから。 「お父さん、先お風呂入ってて」 さすがに落ち着いてきたお父さんをお風呂に促し、私はやるべきことをやってしまう。 まだお父さんを我に返してもいけないし、あの年増からは『存在意義』を奪ってやらなくちゃ。 「あは、あははははははははははははは!!」 51 :闇母 [sage] :2008/01/12(土) 19 50 30 ID f5RU4BjJ 〈市代Side〉 気付けば、私はリビングの隅でまるくなっていた。身体中が痛い。頭がぐらぐらする。喉もヒリヒリする。軋む身体を起こして、私は周りを見渡す。 真っ暗なリビング。私は電気をつけて、初めて愛のムチの凄まじさを知った。時計を確認すると、午前三時を少し過ぎたところだった。 やられた。懐かしい手法だった。多分聡史さんは薬でもあの小娘にかがされたのだろう。かつて私がやったように。しかし全く同じシチュエーションを真逆の立場で味わうとは思わなかった。 そして悔しかった。まんまと策にはまったこと、そしていくら薬でとはいえ、聡史さんに誤解されたことが。涙が止まらなかった。 リビングを綺麗にし、仕方なしにシャワーを浴びた。。そこそこに上がり、寝室へ向かう。そこには、彼の字で“入るな”と扉に紙が貼ってあった。 仕方なくリビングで寝ようかと思い、背を向けたときに、その信じがたいものがギシギシという音とともにかすかに耳に届いた。 「んあっ、あっ、だめ、もうらめ、らめ、あんっ」 「いく、いく、ま、また、いっちゃうよおぉ、んーーっ!」 信じられない。まさか、あの人がまさか、ね。はは。 52 :闇母 [sage] :2008/01/12(土) 19 51 22 ID f5RU4BjJ 〈聡史Side〉 どうやら朝のようで。行為の後特有の気だるさとともに意識が覚醒してきた。 「市代…」 隣にさっきまでいたのだろうか。市代の温もりがまだ残っていた。 だが不思議だ。普段なら行為を思い出して朝も“あれ”が元気なのに、昨日のことをまるで覚えていない。学生時代にも似たようなことがあったような、なかったような。 今日は土曜日。俺は久しぶりの休日を享受できるわけだ。娘の教育の為にも、一応着替えてからリビングに向かう。 「………。」 誰もいない。 明かりはついているが人の気配がしない。 「朝食もまだか…」 なんだ?こんな珍しい。市代が朝食を作ってないとは。それのために毎朝毎朝俺より一時間も早く起きるのが市代の優しさだ。 キッチンを覗いて言葉を失った。まるで何かが大暴れしたかのようにぐちゃぐちゃになっている。バラバラの野菜。ひしゃげたおたま。 「こ、これは、これは一体…」 なんだよ、これ。 53 :闇母 [sage] :2008/01/12(土) 19 56 16 ID f5RU4BjJ その時俺は視界の端にうずくまる市代を見つけた。 「い、市代!!」 市代の身体がピクリとする。 しかし俺は足がすくみ、すぐには近寄れなかった。なぜなら、市代の手には結婚して初めて贈った包丁が握られていたから。 (危ない!) 俺の本能がそう告げている。いやそれははっきりと雰囲気で分かる。 でも俺、俺はあいつの夫だから、それ以前に市代を愛しているんじゃないのか!?お前はあの日約束したろ? 俺はついに駆け寄り、彼女の顔をあげさせたところで、またも言葉を失ってしまった。 市代の顔は殴られたあとのような青痣と腫れでいっぱいだった。 「聡史さん…」 そしてその目は何も見ていなかった。 「私…私…」 「い、一体何があったんだ!?まさか、強盗か!?お、おまえ、まさかや、やられたんじゃ」 かなりパニクっていて、自分が何言ってるかも分からない。 「わか…ない…」 ボソッと言った市代と目が合うと、腫れたまぶたの下、彼女の瞳からぼろぼろと惜しみなく涙がながれて。彼女の口からは衝撃的な事実を聞かされた。 「味が、味がわかんないの…全然わかんないよぉ!!!」 後で分かったことだが、その日、彼女の舌は永遠に味覚を失った。
https://w.atwiki.jp/oreqsw/pages/2382.html
チリ車の俺 第三話「オールイン」 ―――アフリカ、第31統合戦闘飛行隊基地外周 ドォンドォンドォンドォン!!・・・パラパラパラ 稜線に伏せた俺の目の前の地面が爆ぜて頭上から砂が降り注ぐ。 ピピ―――ッ!! マイルズ「フォーワード!!」 ホイッスルの音と同時に匍匐していたウィッチ達が立ち上がり駆け出す。 ガキン!キュラキュラキュラキュラキュラキュラ 陸戦ストライカーの履帯を展開して砂丘を走行して下る。 ドォンドォンドォン!! さらに俺の周囲に着弾。 俺「うわっ!っぶねー!!」 驚いて速度を落とす。 マイルズ「コラー!!怯むな、俺中尉!止まったら当たるわよ!」 俺「ええい、こんちくしょう!」 ザザ―――ッ パトリシア「ムーブムーブムーブ!!」 アビゲイル「イェーハァ!!」 パットンガールズ達が砂塵を残して斜面を先行する。 北野「待ってください~、俺中尉~!」 俺「こっちだ!急げ!」 北野「は、はい~」 (チハ車のSA一二二〇〇VD魔道エンジンじゃ150呪力が限界だ。 こんな地形じゃ厳しいな・・・ これも後で報告書にまとめておくか) マリリン「インカミーン!!」 俺「伏せろ!」 ガバッ 咄嗟に古子に覆いかぶさって地面に伏せさせる。 ドォンドォンドォン!! またも至近弾で砂が舞い上がる。 またもまき上げられた砂が落ちてくる上に砂塵となって視界を奪った。 俺「近っ! 何考えてんだ、あいつらー! 当たっちまうぞ・・・ ほら行くぞ、北野軍そ―――」 なんとか古子を掴んで立ち上がらせようとしたとき、 ふにっ 俺「えっ?」 ふにふに なにか柔らかい物に指が触れた。 砂塵が濛々と舞っていて良く見えない。 (なんだこれ?) ふにふにふに 北野「んあっ・・・お、俺中尉さん・・・・そこはっ、んっ・・・///」 砂煙が晴れると、俺の手がしっかりと古子の控えめながら形のよい胸を捉えているのが見てとれた。 つまり、視界が晴れるまでの数十秒間おもいっきり乳を揉んでいたということになる。 慌てて手をどけて弁解する俺。 北野「お、俺中尉さん何するんですかっ・・・」 俺「あっ、いやこ、ここここれはその間違いでっ」 北野「あ、あはははは、そうですよね。びっくりしちゃいましたよー」 古子も顔を真赤にして乾いた笑いで応じた。 明らかにドン引きしている。 スパーン! マイルズ「真面目にやりなさい!」 強烈な張り手が後頭部にヒットした。 俺「はいスミマセン、マイルズ少佐殿」 現在第31統合戦闘飛行隊『アフリカ』陸戦隊は空地直接協同作戦、エアランドバトルの為に訓練中である。 カールスラントの「韋駄天ハインツ」ことグデーリアン将軍が推し進めた電撃戦を基にした戦闘教義だ。 的確な航空支援の元、地上部隊がその機動力を最大限に発揮し敵戦線を食い破る。 特に広大な戦場で戦うことになる砂漠戦では機動力が肝だ。 そのため、現在アフリカ戦線では空陸両ウィッチによる連携作戦が推し進められていた。 最終的な目標、スフィンクス作戦―――つまりスエズ運河の解放―――を達成するためには不可欠だろう。 マイルズ「もう一度やり直しよ。 今度は躍進800m、一気に砂丘を駆け上がるわ。 全員砂地でフットボール出来るまで訓練よ!」 マイルズ《上空の航空隊、聞こえる?》 加東《良好よ》 マイルズ《もっと近くにお願い。 出来るわね?》 加東《了解》 マイルズ「さぁもう一度行くわよ。 全員駆け足で麓まで下りなさい」 全員「イェス、メイジャー!」 ――――――――― ―――――― ――― モンティ「まだまだ、だな・・・」 モントゴメリーが双眼鏡を下ろしつつそう呟く。 訓練が行われている砂丘地帯から程遠くないまた一つの砂丘に砂漠の三将軍が佇んでいた。 もちろん目的は訓練の視察である。 パットン「まだ始めたばかりだ、仕方ないだろうが」 ロンメル「我がカールスラントの魔女達は既に戦闘教義段階から講習済みだ。 いつ実戦でも問題はない」 パットン「抜かせ。あの馬鹿でかいタイガーが付いてこれる訳ねぇだろ」 ロンメル「・・・ティーガーについては本国で新型歩行脚が試作中だ。 直にこっちにも回ってくる」 モンティ「・・・仕方あるまい。 それでは我らが新司令官殿をお出迎えに向かうとするかね、諸君?」 パットン「ああ、行くか」 丁度本日が件の「タスクフォース」指揮官に就任するシェパードの着任日である。 そして三人は駐車してあったキューベルワーゲンに乗り込んで走り去った。 ―――滑走路 パットン「それで、奴さんはまだか」 モンティ「すでにレーダーが補足した、じきに着くだろう」 パットン「ふん、何がタスクフォースだ。 急にやってきて指揮権を持ってくなんてアイクは何を考えてやがる」 ロンメル「なに、君の同国人だろう。せいぜい仲良くし給え」 パットン「ヤなこった」 モンティ「全く君らしいな」 パットン「結構!ズカズカと儂らのテリトリーに踏み込んできて勝手に全部持っていく輩など信用できるか!」 ロンメル「まあ、その点については我輩も同感と言わざるをえないな」 モンティ「私だって出来れば避けたい話ではあるが・・・連合軍総司令部からの意向では仕方が無いだろう?」 パットン「むぅ・・・」 そう押し黙ると懐から葉巻を取り出して愛用のジッポーで火をつけた。 モンティ「相変わらずシガーにオイルライター等と・・・これだからリベリアンは・・・」 パットン「黙っとれ」 ―――同時刻、アフリカ基地上空C-47スカイトレイン機内 輸送機内のベンチシートに一人の初老の男が腰掛けている。 厳しく締まった口元に蓄えられた髭も、陸軍のシンボルである黒いベレーからわずかに覗く髪も白い。 肩の特殊戦スクールインシグニアと帽子の三ツ星が彼の地位を物語る。 ガッチリとした長身に野戦服を纏い、脇に吊り下げたショルダーホルスターには愛用の.44口径リボルバーが収まっている。 シェパード「4年前、私は瞬きの間に三万もの兵を失った。 だが世界はそれをただ傍観するだけだった―――」 誰にともなく、低く太い声でシェパードがつぶやいた。 「SHEPHERD」のネームタグが付いた胸ポケットから葉巻を取り出し、吸口をナイフで切り落としてマッチで着火して咥えた。 シェパード「そして、世界最強の軍事国家たる我々リベリオンは戦う意志を失った―――」 マッチの火を消すと、それを機内の床に放り投げた。 シェパード「しかし・・・この計画が成功すれば我々は再び立ち上がる」 ゆっくりと硬い座席の背もたれに体を委ね、つぶやいた。 シェパード「歴史は勝者によって記される―――」 操縦士「閣下、まもなく到着です」 シェパード「分かった」 確認するとシェパードは目を閉じた。 そして『ゴールドイーグル』はアフリカの地に舞い降りた。 ―――第31統合戦闘航空団作戦司令部 シェパード「・・・諸君、私がシェパード大将―――いや、今は元帥だ。 現点を以て在アフリカ全兵力を私が総括指揮することになる。 第31統合戦闘飛行隊も私直轄のタスクフォース141として再編成されることになる。 その過程で諸君らも私の指揮下に編属してもらうことになった。 何か質問はあるかね?」 司令部、と言ってもただの天幕だが―――の前方にシェパードが立っている。 毅然と背筋を伸ばし、強くしかしゆっくりと三将軍に尋ねた。 そしてそれに答えた手が上げられる。 モンティ「理由は? 何故貴官がこのタスクフォースの指揮官に?」 シェパード「良い質問だ。 私が創設した特殊戦センターでは日夜新しい戦術の研究が行われている。 私が此処に来たのは、それをこの戦場にフィードバックするためだ。 そしてなにより、私は諸君らの誰よりも長く戦っている、それだけだ。 他には? ロンメル「当面の作戦方針はどうなるのかね?」 シェパード「現在のスフィンクス作戦発動までの下準備を継続する。 以降はタスクフォース単位による特殊作戦を展開する」 パットン「なんだ、その特殊作戦ってぇのは?」 シェパード「現時点では機密事項だ。 諸君らが知る必要はない」 パットン「そりゃどういう風の吹き回しだ?!」 シェパード「落ち着きたまえ、中将。 ニード・トゥ・ノウの原則だ。 『今』、『ここで』、『君が』知る必要のない情報だ」 パットン「ふん・・・」 モンティ「具体的に我々はどうなるのかね?」 シェパード「今まで通り通常部隊の指揮を担当してもらう。 主に戦線の維持と防衛だ。 だがタスクフォースに編入する一部戦力と全ウィッチ隊は私の直接指揮下に置く。」 パットン「美味しいところは自分が持って行くってことか?」 シェパード「好きなように捉えてもらって構わん。 私はこの戦争に勝つために来た。 その為には『いかなる』犠牲も厭わん。 覚えておけ」 ――――――――― ―――――― ――― 次回予告 アフリカに来てから訓練漬けで嫌になりそうな日々。 そんな時に久々の非番日が回ってくる。 マイルズ「ちょっと付き合いなさいよ」 お決まりの台詞でマイルズの買い物に付き合わされる俺。 ということは俺SSシリーズお約束のお買い物回だ! あんなトラブルやこんなハプニング、そしてもちろんチンピラに絡まれるのもお約束。 そしてマイルズにライバル出現? なんと俺が市場で運命の出会いを果たしてしまう! まさかの√変更か?! 次回 チリ車の俺第四話「嗚呼愛しの豹娘」 乞うご期待 - -
https://w.atwiki.jp/animeyoutube/pages/1253.html
もうスグだよ!!サワコ。 - みー 2010-11-11 20 13 02 がんばれ~ 爽子 - 名無しさん 2010-11-25 21 30 37 爽子ならいける!がんばれ!! - まり 2010-12-25 19 00 42 ゴールまであと一歩だよ! - りえ 2010-12-25 19 03 16 がんばれー!あと少しだよー! - りこ 2010-12-25 19 06 27 うん、明けまして御目でチー - うん 2011-01-09 21 12 46 爽子頑張れ! - つむ 2011-01-29 17 20 41 ラブラブ - ミント 2011-02-12 14 21 42 風早こくっちゃえ!! - に 2011-02-22 18 18 48
https://w.atwiki.jp/animeyoutube/pages/1233.html
くるみ・・・ホントわ、いい子なんじゃ・・・? - monnchi 2010-10-02 15 33 25 くるみあっての、爽子!(設定的に) 爽子・風早くん、サイコー - awako 2010-12-19 23 35 58 くるみうざい - にゃー 2010-12-25 16 51 08 可愛い人ほど性格悪いよね~。 - 風早大好き人間 2011-01-03 16 47 03 ほんと・・・うざすぎ!! - にゃんこ 2011-01-29 17 38 35 風早くんかっこいいーーくるみもかわいいけど裏がありすぎ爽子ちょーーーかわいい - ミント 2011-02-10 18 42 46 深いわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー - ミント 2011-02-10 18 43 30 くるみ嫌-------!!!!!風早くんと爽子やばい-------❤ - hiroko 2011-03-31 11 41 43 くるみって何であんなにうざいのかな。まぢウンコだわー。 - ムフフ……。 2011-04-11 12 07 12 くるみもかわいい!大好き! - 匿名 2011-05-22 15 20 11
https://w.atwiki.jp/yuimio/pages/59.html
ゆいみお!第三話 ゆいみお!第3話です 「ふ~んふふふ~ん♪」 「唯、もっと端によって」 「おぉっと…悪いね、澪ちゃん」 夕飯の材料を買うべく、近くのスーパーへ向かう二人 「なんかご機嫌だな、唯」 鼻歌交じりに歩く唯に、澪が問いかける 「だって澪ちゃんと初めてお買いものに行くんだもーん」 「えっ?!」 「今までこうやって澪ちゃんとお出かけすることもなかったし」 「そ、そう…だな」 唯の言葉を受け、初めて二人だけで出かけてることに気付く澪 「さっきは一緒にお茶して、おしゃべりして…澪ちゃんと一緒にいれて嬉しいんだよね!」 「そうなの…か?」 「うん!だってこうやって澪ちゃんと一緒にゆっくりすること、ほとんどなかったから…」 「そう…だな」 「だからね、今日はすっごく楽しいんだよね!」 澪は唯の言葉に驚く 部活中、唯は律とふざけあい、澪はそれを注意し正す役割だった だから、唯は真面目な自分とは一緒にいても楽しくないだろう、と思い込んでいた 唯たちが楽しそうにじゃれ合うのを横で見ながら、自分もあの輪に入れたら…と思うことがしばしばあった しかし恥ずかしがりやな性格と、自分までふざけたら部が成立しなくなる。という思いから注意役に徹していた そうしているうちに、唯は律との親交を深め、紬とも触れ合う機会が増えた 何より澪以外の3人は2年時に同じクラスであり、余計に澪が唯と関わる時間を奪うこととなった しかし、先ほどの言葉で唯が自分といるのが楽しいということを知り、嬉しく感じる 「ねっ、澪ちゃんはどぉ?私といて楽しい?」 「うぇっ?!」 唐突な問いに戸惑う澪 「も、もちろん…楽しいに決まってるじゃないか!」 力を込め過ぎてつい大声になる澪 「えっ…う、嬉しいーっ!澪ちゃーん!」 「わっ!…っと、ちょ、ちょっと…唯」 嬉しさのあまり抱きつく唯 突然の抱きつきに驚き戸惑う澪 「えへへー、つい嬉しくってー」 澪から離れ、無邪気な笑顔を見せる唯 「もう…周りに人がいるんだから」 嬉しくもあるが、恥ずかしくもある澪 先ほどの抱き合っている際、周りの視線を凄く感じたからだった 「だったら、人がいないとこならやってもいいってことカナ?」 「うっ…そういうわけでは…でも…ま、まぁ…たまになら、いいか…な」 「えっ、そうなの?!やったー!!」 唯の抱きつきを許可する澪 「でも、梓にやるみたいにみんなの前ではなしだからな!」 「ぶーっ、いいじゃーん…ならみんなにやればいいんだよ!」 「お前は誰でもいいのか…」 「そ、そんなことないよー…うん分かった。二人っきりのときだけやるね」 「うん、それなら…」 「えへへー、次が楽しみだなー」 こうして新たに触れ合う機会を得て、唯と澪はお互いに嬉しく思った そして近くのスーパーに到着する 「うーん…何にしようかなー」 「簡単なものが良いかな…」 夕食に何をするか悩む二人 「なんかこうして並んでお買い物してると、夫婦みたいだねっ」 「えぇっ?!ふ、夫婦ぅ!」 唯の突然の言葉に再び驚く澪 「な、なんで…そんなこと」 「だって澪ちゃん私よりおっきいし、頼りになるダンナ様って感じだよ♪」 「…私、女なんですけど…」 「あはっ、ごめんねー。冗談だよ、ジョーダン!」 唯にダンナ様と言われショックを受けたが、夫婦みたいという言葉にまんざらでもない澪であった 「あっ、カレーなんかどぉ?」 「カレーか…まぁそんな難しくないだろうし、大丈夫だな」 「よしっ、カレーにけってーい!」 こうして、本日の夕食はカレーに決まった 「カレーといえば、チキンだよねー」 そう言って唯は鶏肉を手に取る 「…ちょっと待て唯」 澪が唯を制する 「カレーといえば、ビーフだろう!」 真剣な顔で言い放つ澪 「えーっ、チキンのほうがあっさりしてておいしいよー」 「ビーフのほうがコクがでておいしいだろ!」 「チキンのほうがいいーっ!」 「いーや、ビーフだ!」 「チキン!」 「ビーフ!」 肉売り場で言い合いを始める二人 お互いこだわりがあるのか、譲ろうとしない 「…唯、ちょっと待って」 「えっ?!…チキンにする?」 「いや…周りの視線が…」 ヒソヒソ「ちょっと奥さん見ました?」 「いやねぇ、あんなとこで」 「最近の若いコは」ヒソヒソ 二人はいつの間にか、買い物中の奥様方の注目を浴びていた 「うっ…ちょっと恥ずかしいかも…」 「ちょっとどころじゃないよ…」 言い合いをやめ、その場から早く離れたいと思う二人 「じゃ、じゃあさ…チキンとビーフ、二つ作ればよくないか?」 「おぉー、澪ちゃん名案!」 澪の提案を受け入れる唯 「そうすれば、唯の勧めるチキンカレー食べるしな」 「そうだね!私もビーフカレー食べたい!」 こうして、夕食はチキンとビーフ2種のカレーとなった 材料以外にも食後のアイス、夜食のお菓子等を買い二人っきりでの買い物を終えた 「よーっし、やるぞー」 「怪我しないように気を付けないとな」 帰宅後買ってきた食材を並べ、料理を始める二人 「唯は野菜の皮をむいてくれ」 そう言って澪は皮むき機を唯に差し出す 「えーっ、私包丁使いたいー」 「いや…唯に包丁使わすには危ないと思って…」 「ぶーっ!澪ちゃんも憂みたいなこと言うー」 頬を膨らませ不満そうな唯 「もし唯に怪我されたら…唯の変わりは誰もいないし」 「えっ?!そんなことないよー。ギター弾けなくてもあずにゃんがいるし、澪ちゃんのほうが変わりがいないよ!」 「いや、私は唯と二人でやりたいんだ」 真剣な顔で訴えかける澪 「えっ…」 「今回の大会は、唯とやりきりたいんだ…だから、野菜切るのは私にまかせてくれないか?」 「…う、うん。分かったよ…澪ちゃん、怪我しないでね!」 「あぁ、気をつけるよ」 澪の説得に納得した唯。そして澪の熱さに感動したのか、唯は涙目だった こうして調理は順調に進み、チキンとビーフ2種類のカレーが完成した 「おーっ、おいしそうだねー」 「うん、うまくできたみたいだな」 料理の出来栄えに満足そうな二人 ご飯の上に、半分ずつ乗ったチキンとビーフ2種類のカレー それぞれの匂いが食欲を刺激した 「それでは、「「いただきまーす」」 「じゃあ、ビーフからいこうかな~♪」 「じゃあ、私はチキンから」 お互いが勧めたカレーを食べる 「んっ!コクがあってビーフあいしいね!」 「うん、チキンもさっぱりしてる中にキレがあってあいしいな」 「確かに澪ちゃんが勧める理由が分かったよー」 「チキンも唯が勧めるの分かるよ」 「ごめんねビーフ~、今度憂にも作ってもらうよ~」 「私も、今度マ…お母さんに頼んでみようかな」 こうして、それぞれのおいしさを知ることができた 「ん~、こうやって別々に食べるのもいいけど~…えいっ!」 2種類のカレーとご飯を混ぜ始める唯 「こら唯、お行儀悪いぞ」 「だって一緒に食べたいし~…んっ、んん!…澪ちゃん、混ぜるともっとおいしいよ!」 「ほ、本当か…」 「うん!これは新発見だよ!」 「唯がそこまでいうなら…」 澪もカレーを混ぜる 「どれ…おぉっ、確かに混ぜたほうがおいしい!」 「でしょー」 「チキンがビーフの濃さを消し、ビーフがチキンのあっさりさを消しちょうどよく…まさにカレーのアールヌーボーだ!」 あまりのおいしさに饒舌になる澪 「あはは、何それー」 「はっ!…つ、つい…」 唯に先ほどのコメントについて指摘され、恥ずかしがる澪 「絶対ゆいみおも上手くいくよね!」 「えっ…どういう意味だ?」 「私と澪ちゃんの好きなものをミックスして、それがおいしかったんだよ」 「う、うん」 「だから、私と澪ちゃんがやるゆいみおも絶対上手くいくよ!」 「おぉ…そういう意味か…あぁ、そうだな。上手くいくよ、絶対だ!」 唯の言葉の意味を知り、力強くゆいみおの成功を宣言する澪 こうして、二人で作ったカレーは大成功となった 「ふー、おいしかったね!」 「唯、カレーおかわりしちゃって大丈夫か?」 「大丈夫大丈夫!あ、食後のアイス食べようかな?」 「おいおい、これから練習するんだぞ」 「あっ、そうだった!お風呂入って寝るつもりだったよー」 「おいおい、合宿の目的を忘れるなよ」 いつも通りの唯にあきれる澪 「そうだよね、練習するからアイスは我慢するよ!」 「おっ、偉いぞ唯」 「えっへん!やるときはやる女なんです!」 「まだ何もやってないけどな」 「んもうー、これからやるんだよ」 「そうか、悪かったな」 食事を終え、ようやく当初の目的である練習を始める二人 果たして何を演奏するのか? そしてこれから二人にどんな出来事が… 以上です。またまた続きます 初出:1- 413 NEXT:ゆいみお!第四話 INDEX:ゆいみお! BACK:ゆいみお!第二話 戻る(SS) TOP
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2763.html
第三話:飛戦姫 ルナとメルが白と黒の軌跡をサーキット内を疾駆する。スタートから少し経つが、どちらも譲らぬ状況で片方が差をつけるという事がまだ起きていない。 そんな中、最初の大きなカーブが迫る。ここは速度を落とすのがセオリーだ。下手に曲がればコースアウトだ。ルナは速度を落としてできる限り、内側でカーブを曲がる。曲がる距離を減らす作戦だ。 一方、メルは内側を奪えず、ルナより遅れてカーブに入り込む。 「差を付けようかな……メル!」 「はいなっ!」 カーブを曲がりきる直後、貞方はニッと笑うとメルも笑い返して短く答え、翼を広げる。その瞬間、黒い光が翼を包んでメルを加速させる。その加速は異様な勢いで、先ほどの直線以上のスピードをたたき出している。 「あっ!」 「エンゼライゼ・シュバルツ……移動スキルね」 真那は単純な結論に達する。それはおそらくは正解だ。そう。カーブの直後に移動スキルで減速を補ったのだ。取り戻した分、ルナからアドバンテージを取っているのである。 「こっちも負けてられないわね。ルナ! エクステンドブースター、点火!」 ルナはカーブを曲がりきると使っていなかったエクステンドブースターを点火して加速を開始する。ここからは小さなカーブが連続するスロープでスピードはあまり出さない方がいいが、巻き返すには仕方がない。 それで追いつこうとするが、さすがは移動スキル。こちらの加速以上のスピードをもって引き離している。 「ルナ! まだよ! どんどん走るのよ!!」 それでもなお、ルナは粘る。数秒経ち、スロープが終わったその時だった。メルの速度が落ちていく。エンゼライゼ・シュバルツが切れたのだ。 「チャンス!」 それを見たルナは一気にメルとの距離を詰め、逆に追い越して見せる。メルは悔しそうに後ろを走る。SPがたまるにしてもまだまだ先だ。エンゼライゼ・シュバルツはそうそうだせないだろう。 さらにカーブを曲がって一周目のゴールが見えてきた。ゴールまでは一直線だ。ルナに分があり、段々と差を引き離していく。 そして二周目に突入した。先頭を行くのはルナだった。まずは一周目の勝利といった所だ。 「ルナ! パージしなさい!」 「了解っ!」 二周目に入った直後、ルナは燃料の切れたエクステンドブースターをパージする。そうすると外れたブースターがメルの行く手を阻む。 「これで足止めなんて……」 メルはジークムントを抜き放つと 「冗談っしょ!」 一言叫ぶと共にブースターを斬り裂いてそのまま抜けていく。斬られたブースターは爆発すると爆風を巻き起こす。メルはそれに乗って、スピードを稼ぐとルナとの距離を詰めにかかる。 「今度は攻撃行くよ!」 メルは暗器……苦無をルナに放ち、追撃を仕掛ける。飛来した苦無に対し、ルナはカーブを利用してロールして回避しつつ、それを抜けていくとメルに反撃のマシンガンを放った。 「遅い遅い!」 迎撃のための弾丸が繰り出される中、メルはそれを回避して見せ、返しの攻撃にハウリン型の投擲武器 棘輪を放つ。 疾走するルナはそれをかわし、そのままエンジェリック・スカイを発動させる。一周目でメルが使った手だ。 『そう来るか。なら、これを使わせてもらうぜ!』 貞方はそれに対応するようにアイテムを使用した。その瞬間、フィールドが開けたサーキット場からビル群が立ち並ぶコースへと変動する。 『くっ! ルナ! ビルに注意しながら進んで! エンジェリック・スカイを無駄にはできない!』 「は、はい!」 急なステージ変化で戸惑うが、ルナは移動スキルを無駄にすることないようビルの回避を開始する。 ビルが続く中、その先でメルがビルの陰からロッターシュテルンを持って襲い掛かってくる。同じ飛行型ではあるが、ビルの回避で思う様にスピードが出せないデメリットを逆手に取った行動だった。 襲撃を受けたルナはライトセイバーを出力してそれを受け止める。そのまま拮抗状態になり、互いが動けなくなる。エンジェリック・スカイも切れ、スピードは五分五分となって、硬直する二人の先にビルが迫ってくる。 『ルナ! 離れて!』 『メル! 一旦離脱だ!』 マスターの声に応じてお互いが離れ、メルは暗器を、ルナはココレットを放つ。 そこからビルに挟まれてメルが見えなくなる。今はココレットが追撃をしてくれているだろうが、そう長くは持たない。ルナは今の内にアルヴォPDW11のリロードを済ませる。 そうしている内にビルを通り過ぎ、メルの姿を確認しようとする。しかし、そこにメルはいない。 「ど、どこに!?」 『上よ!!』 真那の声にルナが上を向くとメルが上空からロッターシュテルンとジークムントを組み合わせたジークフリートをサブアームに、自身の手で暗器をそれぞれ構えて、攻め込んできた。ココレットがいない所を見ると既に破壊されてしまったようだ。 ルナはアルヴォPDW11とすぐに取り出せるアルヴォLP4ハンドガンを空中にいるメルに同時に放って迎え撃つが、重力落下による加速を得ているメルは速度を維持しながら回避をし、近接戦に持ち込んできた。 『回避して! 近接戦は不利よ!!』 「わかってます!」 ルナに真那は即座に次の指示を飛ばす。急降下してくるメルとすれ違う様にギリギリでジークフリートの一撃を回避する。さらに暗器の攻撃も急降下を利用しているのを利用して上へと舞い上がった。そうすると急に上を向けないメルは暗器を放てずに奇襲を終える事となってしまう。 その直後、二周目の終わりが見えてくる。メルは攻撃を諦めて、差をつけるために移動スキルを用いて、加速をかける。既にエンジェリック・スカイ、ココレットとスキルを使ってしまったルナには移動スキルで対抗するという選択肢は使えなかった。 そして三周目に突入する。先頭を切るのは移動スキルを使っているメルだった。ルナは後を追う様に三周目に入るが、一歩遅れてしまっている状況だ。彼女はアルヴォPDW11、アルヴォPDW4を左右の手で構えて連射する。 メルはその弾幕を先ほど以上の動きのキレを持って回避している。さらにメルは爆弾を投げつける、置くなど、あらゆる方法で仕掛ける。 ルナは回避するが、爆弾の爆発、爆風で行く手を阻まれ、スピードを制限されてしまう。 ルナの弾幕をこうもたやすく回避し、さらに反撃するとはやはりメルは相当できる神姫だ。さらに貞方はアイテムの使い方も、アクセルロンドの戦い方もわかっている手練れだった。 『ルナ! 戦い方を変えるわ!』 そう言って真那は対抗策としてルナの武器を変更する。それで持たせたのはGEモデルLC5レーザーライフルだった。それは回避の高いメルにそう当たるものではない。何をする気だろうか。 「了解!」 ルナはレーザーライフルをシールドに装着するとチャージを始めた。攻撃が止んだのを見たメルは移動スキルを使って、差を話しにかかる。段々とリードを奪われるが、ルナのチャージはたまっていく。 そして、三周目の終盤となり、ゴールへと続くストレートなコースとなる。今回もメルが一位で通過する。後一周もこのままではルナが負けてしまう事となる。 「チャージ完了だよ!」 『よし! アークブラスト発射!』 チャージの完了したレーザーライフルから極太のレーザーが放たれる。それはビルをも突き破ってメルに迫る。 『なんて無茶な! 回避だ! メル!』 「うわわぁっ!?」 先ほどの弾幕以上の面制圧にさすがのメルも直撃こそしなかったが、回避が遅れ、ダメージをもらう事になった。翼が焼け、彼女のスピードが落ちていく。 それだけではなかった。アークブラストによって空けられた穴を伝ってルナはメルに一直線で追い上げていた。これならストレートに限って、障害物は無いに等しくなる上に直後のカーブのおかげで爆弾の設置をしたいならコースを逆走するしかなくなる。 『移動スキル使用不能か。やってくれたな』 「ボクもこの発想はなかったよ。ジェリー使っていたのにさ」 『仕方ないさ。次の手だ』 「OK」 その言葉からメルは不可思議な機動をとり始める。ビルの淵に沿って動きはじめたのだ。何をしようというのかと考えているとすぐにその答えはわかった。なんとルナがカーブを抜けてきた辺りから、ルナの進む道の先で爆弾が爆発したのだ。設置による牽制を受けた事で彼女はそれによって動きを制限され、思う様にスピードが出せなくなってしまった。 『ルナの進む位置を予測して爆弾を設置しているのね……』 「どうするの?」 『私が進む方法を教えるからそれに従って。判断を任せる時はマイクを指で叩くわ』 「わかった!」 その時、ルナの進む先にビルが見えた。恐らくメルの爆弾も設置されているだろう。 『右よ』 真那がルナへルートを告げると彼女はその通りに動く。そうすると爆弾が爆発してこない。それは彼女の判断は正しかった事の証明だった。 『今度は上って』 さらに言葉を告げ、爆弾を回避する。次にそう何度もやっていると読まれると踏んだのか、真那はマイクを指で叩く。そうするとルナは自分の判断で左に回り込むように移動する。そうすると爆発が無い。上手く攪乱できているようだ。 それを繰り返しているうちにメルの後ろ姿を捉える事が出来た。減速でうまく飛べていない。このままいけば、逆転もいけるだろう。これで最後までわからなくなってきた。 『……なぁるほど。これもダメか。よし。最後のアイテムだ。これでどうにかするぞ』 「らじゃっす」 貞方の発言と同時に減速していたメルの速度が戻ってスピードが上がる。恐らくはグリスジェリーを使っている。ラストスパートをかける気だ。 差を付けられない様にルナはマシンガンでばら撒いて追い上げるが、まだまだ差は離れていた。 『エンジェリック・スカイ!』 「うん!」 バックユニットが完全に無事なルナはその機能を全開にして追う。徐々に差は縮まるが、追い抜かすまでには至れない。そして最後のストレート。メルはルナが空けた穴を伝って、一直線でゴールへと進む。先ほどの逆転の一手が仇になってしまっていた。ルナもそれをしようとするが、メルが反応して後ろから爆弾を撒いて足を止めにかかる。 ルナは最後の一周であるため、爆風によるダメージを構わず、強引に進む。速度の差が大きく、段々と距離は縮まっていく。 『Goal!!』 しかし、差は大きすぎた。あと一歩届こうとした所でコールのラインを越えてしまった。メルが逃げ切り、彼女が勝利した。 『よし!』 「やった!」 勝った貞方とメルはお互いにガッツポーズをして見せる。それと同時に戻ってきたルナは真那と一緒に少し暗い顔で俺に報告をしてきた。 「ごめんなさい。勝てませんでした」 「……ミコちゃん。だめだったわ」 「気にするな。お前は十分やってくれたんだ。後は俺が何とかする」 「うん。応援してる」 「ああ。紫貴。行くぞ」 「OK。ルナちゃんの分まで突っ走ってきてやるわ」 俺は真那の頭をなでてやると、竹櫛達の方へ蒼貴と紫貴と共に向く。これで俺はもう後はない。後二回をすべて勝ち抜くしかない正真正銘の背水の陣となったのだ。 「いきなり負けたのに随分と余裕そうね」 「逆さ。余裕がないからこそこうして気を楽にしているってもんだ。余裕もなく、何もなくで勝てるほど、簡単な相手じゃないってわかっているからな」 峰山がニヤニヤしながらそんなことを言ってきた。別に負けたからと言って真那を攻めるつもりは毛頭ない。彼女は俺のために力を貸してくれた。それだけでありがたいのだ。 だからこそ俺は全力で応えねばならない。それだけだ。 「幸人君にあれをしてもらいたいとか~?」 「な、何を言っているの!? ……別にそんな話なんてないわよ」 「当たらぬも遠からずって奴かな~? まぁ、いいや。行ってみる?」 「……ええ。このリア充野郎をぶっ飛ばさないとね」 「なんだそりゃ?」 「自覚なしとかタチ悪すぎ……。いいわ。今からぶっとばしてわからせてやるから覚悟なさい」 よくわからないが、あのやり取りを見ていると俺の行動が何故か彼女を腹立たせるらしい事はわかった。幸人という彼女の友達に俺と同じような事をというが……なんだというのか。頭をなでるぐらいやってもらってもバチは当たらないと思うが……。 「何だかわからんが、やる気十分って事か。いいぜ。それに応じるまでだ。紫貴。やるぞ」 「……色々と言いたい事があるんですけど、まぁいいわ。行きましょう。ミコちゃん」 どうやら紫貴にはあれはなんであるのかが分かったらしいが、その反応を見る限り、あまりよろしくない事をしてしまったらしい。とりあえず、スルーして俺は紫貴をシミュレータにセットする。 峰山もそれに応じるようにリーヴェをセットして、システムを起動させる。 『System AccelRondo Complete』 アクセルロンドの画面からコンピュータによって決定されたフィールドが表示される。今回は宇宙をイメージしたアステロイドというコースだ。隕石が漂うそのフィールドは重力が軽い代わりに隕石が神姫の行く手を遮る。飛行型には少々面倒なステージだ。こちらは車両型だが、隕石は低空でも漂っているので油断はできない。 そこに紫貴とリーヴェが転送される。リーヴェはニーベルングを通常モードとフリューゲルモード同時に装備するという極めて重い装備だ。重力を軽減するアステロイドでどう左右するか予想がつかない。 「よろしくね~。……二重人格だったりしない?」 「何の事よ? いきなり」 「ううん。何となく聞いておきたかっただけ~」 「そう……。 ま、気にしないでおきましょう。遅れたけど、よろしく頼むわね。互いにベストを尽くすってことで」 少々妙なやり取りをした後、互いにスタートラインに立つ。紫貴はトライクモードに変形し、リーヴェはバックユニットで空へと舞い上がる。変形の完了した紫貴はそれに倣う様にエンジンに火を付けてスタートダッシュの準備に入る。 『Get Ready!! ……3……2……1』 カウントが終わると同時にスタートのシグナルが甲高く鳴り、紫貴が地上をリーヴェが空へと駆け出す。 二回目の火蓋が切って落とされた。ここで勝たなければ俺のチームの敗北だ。この戦い、絶対にモノにしてみせる。 前へ 前へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/190.html
前へ 先頭ページ 次へ 第三話 エイダ クエンティンは混乱していた。 まばゆい光に包まれたと思ったら、ボディが今までのとぜんぜん違うものにすげ変わっていたのだから混乱しないはずがない。いや、すげ変わっていたのではなく、これは本来のボディそのものが変化したのだ。見たこともないエネルギーラインが体を取り囲み、見たこともない装甲が全身に取り付けられている。というよりは装甲そのものも体の一部のようだった。 あまつさえ当たり前のように空中に浮遊している。アーンヴァルのような推進器の類はなく、背中に生えた小さな羽根からしゃわしゃわと出ているエメラルド色の粒子だけで、轟音も地面に吹き付ける風圧も無く、ただ浮いているのだ。 こんなことになった原因はすぐに分かった。あの銀髪の変な神姫だ。あの変な神姫が自分の頬を触ったと思ったら、消えて、なぜかその神姫の声が今は自分の中から聞こえてくる。 ということはその神姫は自分の中にいるという解釈がごくごく自然に成り立つが、ちょっと待った、とクエンティンは類推を引き止めた。 ありえない。そもそも自分の中にいるというその事実こそがありえない。純然たる世界の物理法則からして、二つのものが一つになるなんて絶対に起こらない。いや、一つになって質量が単純に二倍になるならいい。それは合体であり、物理法則になんら抵触していない。 一つになったのに質量が二倍に達していないのが問題なのである。たとえあの神姫自体がこの珍妙なアーマーに変形したのだとしても、二倍には程遠い。せいぜい一.三、四倍くらいだ。残りの六、七割はどこへ行ったのか。消えるということは無い。なら、融合したとしか考えられないのだが……。 『そのとおりです』 あの声がまた中から聞こえた。頭ではなく、胸の中、心臓の辺りから聴覚センサーを経由せず、陽電子頭脳の意識レベルに直接響いてくるらしかった。 「ちょ、ちょっと待ってってば、どーゆー原理でそうなってるわけ? そもそもアンタ誰?」 声に出して、クエンティンは訊いた。理音を含む周囲には独り言にしか聞こえないのではないかと彼女は思った。 『いま説明している時間はありません。ボギー、総数一二機。包囲されています。危険度レッド。脅威度イエロー。今すぐ戦闘行動を開始してください。ボギー1、8、来ます!』 「ええっ!?」 キルルルルッ 包囲している一つ目どものうち二体が、小さな羽根からオレンジの粒子を撒き散らして接近してくる。 クエンティンは慌てた。フロストゥ・クレインは足元はるか下に置き去りにされており、取りに行く暇は無い。 「ぶ、武器は!?」 『使用可能武装情報および取り扱いマニュアル、オープン』 声がそう言った途端、クエンティンはいくつかの武器がこの体にあることと、その使い方を思い出した。教えられたのだ、口頭ではなく情報として、やはり直接、陽電子頭脳へ。 右手を前方の一つ目、識別名ボギー1へかざす。 ツ、ツ、ツシュッ! 胸部の球体から右手へ伸びるエネルギーラインが点滅し、手のひら下のスリットから、全身を走ったり羽から出たりしているエネルギー粒子と同じ色をした粒子の塊が高速で三連射された。 三つのエネルギー塊は突進してくるボギー1にすべて命中し、足止めを果たす。 その流れで、手首にフォールドされているあの細長いブレードを展開、上体を右に回転させ、右後方へ切りつける。 シュパンッ! そこに丁度接近していたボギー8が、胴体から真っ二つに切り離された。 『ボギー8撃破』 そのままの流れで、もう眼前に肉薄していたボギー1へ、返す刀を真上から脳天へ振り下ろす。 シバッ! 刃を受けたボギー1は縦に半分にされて地面に落下、そのまま爆発した。 『ボギー1沈黙、8を除くボギー2から12、来ます』 残りの十体が一斉に突撃する。 衝突寸前、クエンティンは左手でボギー7をがっちりと引っつかむ。吸い付くような感触。グラブ機能だ。 そのまま最大出力で真下へ離脱する。小さな羽根からエメラルド色の粒子が大量に放出され、クエンティンは猛スピードで地面へ接近する。思わぬ加速に彼女は面食らった。 『衝突警告!』 「ぐうっ……!」 むりやり推進ベクトルを真横に切り替える。 バ、シャウッ! 地面すれすれで、たいしたGも無くすんなりと、クエンティンは真横に移動することができた。 そのまま真上を振り返り、敵集団へ左手のボギー7を力任せに投げつける。 目にも留まらぬ勢いでボギー7は敵集団へ衝突。それを含む三体のボギーはその衝撃で爆砕。 『ボギー2、7、12、撃破』 続いてクエンティンは背中に意識の一部を集中。 視界の生き残ったボギーにそれぞれロックオンシーカーが表示される。 ガシォーン! ロックオンレーザーである。直進しかしないはずのレーザーが、何十本、生き物のように曲がりくねって、数本ずつ一つ目どもに向かってゆく。 命中。 衝突でダメージを受けていた二体がそれで機能を失い落下した。 『ボギー4、5、撃破』 残り五体は距離をとって態勢を立て直す。 「何、この機動性……」 ここまでかかった時間は五秒にも満たない。性能を極限まで追及したアーンヴァルでさえ、こうはいかない。 「アンタ何者?」 クエンティンは声の主に訊ねる。 『独立型武装神姫総合戦闘支援システムプロトタイプ、エイダです』 エイダと名乗った声の主は、抑揚の少ない口調で答えた。 「ンなの聞いたこと無いわよ」 『公に対する情報開示はまったくなされていません』 「じゃあ聞くけど、アンタどこ製?」 『回答不能』 「同郷? BLADEダイナミクス? 少なくともカサハラインダストリアルじゃないわよね」 『回答不能』 「……もしかしてEDEN本社?」 『回答不能』 クエンティンは頭に来た。 「アタシのボディ間借りしといて回答不能は無いでしょ!?」 『申し訳ありません。情報プロテクトがされており、責任者の許可が無ければ開示できません』 そっけなく、エイダは答えた。 だったらなんで、独立型うんたらかんたらプロトタイプって自己紹介できたのよ。 クエンティンは憤りを禁じえなかった。 まったく、とんだ災難に巻き込まれちゃったわ。 「こんな道端のど真ん中で氷雪浴してた理由も回答不能?」 『申し訳ありません』 「もういいわよ」 はあ、とクエンティンはため息を吐く。本当に災難だ。 「そうだ、お姉さまは!?」 あたりを見回す。電柱の影で手を振っている理音の姿が見えた。 良かった、無事だわ。 キリキリキルッ それにつられたのか、残った五体の一つ目どもが理音のほうを向いた。 そのまま彼女へ近づいてゆく。 「なんで!?」 クエンティンは反射的に飛び出した。 明らかに一つ目どもはお姉さまを襲おうとしている! ロボット工学三原則、改名、人工知能基本三原則にばっちり抵触しちゃってるじゃない! なのになんで!? 簡単に一つ目どもを追い越し、クエンティンは立ちはだかった。 「アンタたち、人間を襲うの!?」 一つ目どもは答えない。発声器官が無いのだ。 突撃が答えだった。 「ちくしょー!」 クエンティンはブレードを展開、一番近いボギー10に急接近し袈裟懸けに切りつける。主エネルギーラインを断ち切られたボギー10は力を失って墜落。 切りつけた勢いを反転させ――やはり不思議なことに反動は無かった――正反対を飛んでいたボギー6の頭部を貫き、ブレードに挟ませたままその場で八の字にぶん回す。ボギー3,11がぶつかり、三体はまとめて爆発四散。 『ボギー10、6、3、11、撃破。敵、残り一体です』 「きゃああ!」 理音の悲鳴。 唯一残ったボギー9が、もう理音の目の前まで近づいていた。両手を真上に掲げている。 両手の先からオレンジ色のエネルギーカッターが伸びる。 「しまった!」 クエンティンは彼女の元へ飛ぶ。 だめだ、間に合わない! ボギー9が理音へカッターを振り下ろす。 パンッ、パンッ! まったく予想外の方向から甲高い破裂音が響き渡った。 ボギー9は何か強烈な勢いを持ったものに弾かれ、電柱に激突し破裂した。 理音とクエンティンは音のした方向を振り返る。 高級そうな白いスーツを着た、金髪オールバックの、眼鏡をかけた長身の青年が、煙を吐いている拳銃を持って立っていた。本物の拳銃である。 彼の後方には頑丈そうな真っ黒いサルーンが停まっている。 「こんなところで貴様に会うとはな」 「あなた……」 理音はその青年を知っていた。 以前とあるセンターの、リーグ無差別エキシビジョンマッチにおいて戦い、すんでのところでクエンティンが敗北した、「ルシフェル」という武装神姫のオーナー。 鶴畑コンツェルンの御曹子、長男、鶴畑興紀である。 「まさか拳銃で壊せないとは。たいした新型だ」 鶴畑興紀は地面に転がっている一つ目の残骸を見ながら、ひどく感心した様子で言った。 キルキルキルキルキルキル キリキリキリキリキリキリ さらに生糸を引っかくような音が何重にも聞こえた。 理音たちの後ろの道から、吐き気を催すような大量の一つ目 どもが現れ、近づいてきたのだ。 「こんなにいるなんて!?」 「チッ、乗れ!」 興紀は二人に手招きをし、サルーンへ乗り込んだ。 理音とクエンティンは一瞬迷ったが、選択の余地は無かった。このままこの場に居たのでは確実に嫌なことになる。 「何をしている!」 興紀は怒鳴った。 二人はバックを始めているサルーンへ飛び込んだ。 ドアが自動で閉まる。 「じい、出せ」 興紀は運転席の執事に命じた。 「かしこまりました。お二人とも、シートベルトをきちんとお締めになってくださいませ」 興紀も理音もベルトを締め、理音は懐へクエンティンを忍ばせた。 「行きますぞ!」 白髪の執事はシフトレバーを切り替え、アクセルを踏み込む。 狭い道路を、大型のサルーンがぶつかることなく颯爽と走り抜ける。 サルーンは逃走に成功した。 しばらくその場でうろうろしていたが、ややあって、一体残らずどこかへ飛んでいってしまった。 裏路地に静寂が戻った。 つづく 前へ 先頭ページ 次へ
https://w.atwiki.jp/senesis/pages/46.html
第三話Q A Q:「後悔通りの主」って? A:彼が後悔通りの名前の由来である、と言う意味。 葵・「トーリの後悔」が残る「通り」だから「後悔通り」、という言葉遊びの二重意です。 その後悔が「目の前で幼馴染を失わせてしまった」というものであると言うのは、作中での説明の通りに。 Q:なんでトーリは青い顔しながらも後悔通りへ? A:体面の為に荷物を渡してしまうべきかどうか悩んでいた正純を助けるため飛び込んだ、のではないかと思われます。 P-01sの歌の後に一瞬彼のカットが入ったため、それで覚悟を決めたという説も。 Q:「立ち上がるな」って? A:警備していた学生は座っていたのに通神相手には立っているように見えた。 と言う事は、近くで何者かが立っていて、通神相手はそいつと見間違えた、と言う事になります。 Q:あの最後に出て来た変なモノ……何? A:魔法(ケルト)少女バンゾックのシーツと抱き枕カバーです。 すぐに敵の頭をはぎます。後生贄とかも超好きです。そんなアニメ。 ……観察眼やダメ絶対音感のある人は既に中身が解ってるでしょうが見て見ぬ振りをしてあげて。 Q:「新しい価値観……!」って一体 A:原作でも良く分かりません。 が、「夜の学校で変な格好をして少女に突撃するような時に得る感覚の価値観」と言う意見が有力です。 Q:馬車の中の小西の隣…… A:小西は本人の発言通りエロゲとかアニメとかも扱ってる商人です。 よってアニメキャラのグッズを持っていたとしてもおかしくありません。 ええ。そう言う事にしておきましょう。 Q:と言うか結局中身は正純の…… A:娘の学友の肝試しにつきあってくれるなんていいお父さんじゃないですか! そういうことで! 以下の用語は公式サイトにも説明があります。 松平四天王 三征西班牙(トレスエスパニア) 武神 織田 通し道歌 加重空間 暫定議会 学生間抗争 東国無双 西国無双 教皇総長 機動殻 原作者の解説のまとめのURLです。 http //togetter.com/li/201097 http //togetter.com/li/201460 小ネタ 黒金屋 四菱不動産 範鋼 トキワ出版 洋食屋 キッチン鈴村 大八車屋 木下カート Dress Shop ローズマリー 清酒 喜多村酒造 玉の郷 スレにあがっていたキャプチャで店名が判読できたものたち。 玉の郷については真喜子先生が持っていた酒瓶でも確認出来る。 黒金屋はM.H.R.R.の企業【黒金侍(アイゼンリッター)】の支店? LIVE ASAMADEKIMITO ギターではなく琵琶。 ポスターの反対側の壁に立てかけられている。 今週のIZUMO 現在確認出来たのは浅間の家の時計、直政のスパナ、喜美の櫛 トーリ宛の小包 「絶頂!ヴァージンクィーン・エリザベス初回盤」。 カモフラージュに教育番組「働く階級のおじさん」のロゴを貼付けているが品名で台無しである。 送り主の「ライトニング屋」は電撃屋から? 電話番号が「通神番号」となってたり「氷室」「太線枠内をコークスペンで」と芸が細かい。 ミリアムの机の本 表紙に何もない真っ白な本。 ミリアムが旧教奏者だと言う事から考えると聖譜写本? 公主隠しについての表示枠 要約すると 犠牲者は何の痕跡も残さずいなくなる 「二境紋」という印が残る 「公主達」なる存在が黒幕だと噂される 三十年ぐらい前から発生 京、三河で多く発生している 大体原作のこのへんで纏められてた事が書かれている。 編集、履歴、検索窓がありウィキペディアっぽい? ミイラとスケルトン トーリの仕込みで肝試しに協力してくれた善意の(?)武蔵住人。怪異ではない……筈。 ミイラ:ミシラ三世。多摩で干物料亭「干るす」をやっている。 スケルトン:シェーダー夫妻。購買部の文具店で働いている。
https://w.atwiki.jp/sanojip/pages/20.html
豪雨であった。単なる大嵐なのか、はたまた怪物のしわざか、運悪く転覆した船に乗り合わせた一行は、たどり着いた海岸を背に森林へと分け入っていった。しばらく歩き続けると、轟音が響いてくる。何の音だろうか・・・。不安に思った一行が陽光棒に点火すると、陽光棒の緑がかった光はごうごうと流れる濁った川を映しだした。川の流れは凄まじく、まるで滝のようだ。落ち葉や木々ばかりか、鹿だろうか、動物の死体も流されていくのが見えた。 「ひどい濁流になっておるな・・・」ソーリンの顔は厳しい。 「増水してそうだね、渡れるかなー?」レギンも軽口ではあるが、濁流をにらみつけていた。 橋、はあった。増水する水の中、かろうじてではあったが、まだ水没はしていない。とはいえ、みるみる増えていく水かさに今にも飲み込まれそうである。一行は橋のたもとまで急ぐ。すると、激しい雨の向こう、おぼろげではあったが、明りらしききらめきがいくつか輝いているのに気がついた。 「助かった!明りだ・・・。村かな?」フェフラが安堵の表情を見せる。 「急ごうよ!はやくしないと、渡れなくなっちゃうよ!」ヴォルテールが走り出そうとしたその時、 「待て!」「待って!」ソーリンとカレリクが同時に叫び、目を合わせうなづく。 バチバチと叩きつけるような雨音と、ゴウゴウと流れる濁流。その轟音の中をなお、つんざくような遠吠えが一声、響き渡る。呼び声に応えるように、数多くの吠え声や唸り声が聞こえてきた。 「何かいるようですね。警戒して下さい。」カレリクが弓を構えながら、低い声で促す。ダガー、ウォーハンマー・・・それぞれが命をあずける得物を握りしめる。 1頭、2頭、3頭・・・。もっといる。橋の向こうに現れたのは狼の群れのようであった。狼たちは、その目に陽光棒の光が反射した緑色のぎらめきを光らせている。と、その瞬間、猛烈な勢いで襲いかかってきた!もっとも素早い1頭がレギンに迫る。 「こい!」ダガーを構えようとしたレギンだったが、一瞬狼の方が速かったようだ。レギンの肩から袖伝いに血が流れた。 「むう!」意外にも素早く反応したのはドワーフのソーリンであった。 「モラディンよ、その慈悲の涙により、こ奴らを静まらせたまえ!フォント・オヴ・ティアーズ」ソーリンの念唱により、豪雨に入り混じり銀の雨が降り注ぐ。ただの雨ではない。ソーリンの周囲におぼろげな光が浮かぶ。「く、くぅううん」何匹かの狼は目に怯えの色を浮かべ、戸惑っているようだ。 「ソーリンさん、あとは任せろ!」ヴォルテールが飛び出してくるとともにブレスを放つ。雷鳴とともに狼が1匹吹っ飛び、焼け焦げる。 「まず1匹」ヴォルテールは怒りの形相で狼たちを睨みつけると、奴らもにらみ返してくる。 「いくよ」フェフラが片手を目の前に掲げ、意識を集中すると手のひらに火の球があらわれた! 「スコーチング・バースト!」フェフラの詠唱とともに、火の球は一直線に狼の群れに飛び込み、爆発する。直撃した狼は黒こげに燃え上がり、鳴き声もあげずに倒れる。周囲の狼はさすがに野生の動きを見せ、巧みに避けるが、逃げ遅れた1匹の首すじの毛から煙が立ち上る。 「ここは攻めるべきですね」カレリクが果敢に突っ込んでいく。目にもとまらない早業で立て続けに2本の矢を放つ。さすがに2本は予想外だったか、1本の矢が狼の体に突き刺さる。 「さて、僕もお返ししないとね」レギンの血は止まったようだ。その腕が軽く振られただけのように見えたが、「・・・どさっ」レギンの短剣は襲いかかってきた狼を華麗に一差ししていた。 「残るはでかい奴か。やっちまおう」レギンは巧みなステップで狼に近寄り、短剣をふるう。いや、ふるったかに見えたが、バランスをくずしていた。この豪雨である。皆、足元がおぼつかない。 唸りのような地響きが足元から伝わってくる。突然、川の上流から巨木が流されてきて、橋に激突した。あわや橋が流されるかと思われたが、巨木は橋を乗り上げ、下流へと流れていく。だが、橋がぐらつき出したのも確かである。もう一度同じようなのが来たら橋が危ない・・・一行の脳裏にいやな予感がよぎる。 一瞬の油断をつかれたか、狼が次々と飛びかかってくる。なかでもひときわ大きな狼が回転しながら、カレリクの太股の生地を食いちぎる。 「・・・ぐっ!」思わず、カレリクが苦悶の声を上げる。 「待っておれ。ヒーリングワード!」すかさず、ソーリンが詠唱すると、カレリクの体を温かな光が包む。カレリクは顔に安堵の表情を浮かべる。 「お返しです!」カレリクは弓をつがえると、鋭い矢が狼に突き刺さる。 「まだまだ!」さらにカレリクが放った矢は2本に分かれたかと思うと、それぞれ別の狼へと飛んでいく。 「当たれ!」ヴォルテールの願いが通じたか矢はどちらも狼に命中したようだ。 狼たちの傷も浅くはないようだが、まだかかってくることを止めようとはしない。一行の疲労の色も濃い。先に動いたのは狼たちだった。再び飛びかかろうとしたのか、狼たちが距離をとったその時! ズドドド・・・。何の予兆もなく、地面が裂け水が噴出してきた。川沿いにいた狼が何匹か直撃を受け、倒れる。自然の力に恐れをなしたか、数的不利に気づくほど賢かったのか、狼たちは怯えた表情を浮かべ始めた。 ヴォルテールはその隙を逃さなかった。ロングソードを構え、狼の1匹に振りかざす。その迫力に恐れをなしたのか、狼の群れは逃げていった。 「ふう、これぐらいでいいよね」ヴォルテールがソーリンに尋ねる。 「そうじゃな、悪鬼の類ではなし、追い払いさえすればよい。それより早く休みたいものじゃ」ソーリンが答える。 「ちぇ、ちょっと動き足りないけど、次の機会かな」そういうレギンの唇はすっかり紫だ。 「ともかく、急ぎましょう。ここは危険です」カレリクが促す。 一行が急いで橋を渡りきったその瞬間、橋は大きなうねりに飲み込まれ、濁流へと流されていった。 「ふわー、危なかったね」フェフラが緊張した面持ちで流れた橋を見つめる。 そして、ほどなくして一行はさきほど見えた明かりの村へと到着する。「リンド」という村らしい。冷え切った体をまず温めることが先決だ。小さな村だ。宿屋もすぐに見つかるだろう。そして、その宿屋が新たな出会いと冒険への幕を開くことになる。 さて、一行の運命やいかに。